INNOVATIVE SPORTS EXPERIENCE

セーフティ・ドライビング・エクスペリエンス

Golf GTIセーフティプログラムレポート/富士スピードウェイ/ドリフトコース 日下部保雄/松井猛敏

すべての安全デバイスが働くのはボディ剛性の高さから

最初に安全性能のすべての基本となるボディについて語っていただきましょう。日下部さんにお願いいたします。

「フォルクスワーゲンは、クルマの骨格、モノコック構造のボディ剛性力に早くから着目してきました。ボディの剛性を上げなければ、安全なクルマづくりはできません。今回のGolfから新たな生産方式を採用したことで、軽量かつ剛性の高いボディを実現することができました」

その生産方式とはどういったものでしょう。

「レーザー溶接や超高張力鋼板をこれまでよりも多く使用しました。これにより、クルマの安定性とスタビリティが格段に向上しました。この進化した高剛性ボディによって、今回のプログラムでは、多くの参加者の皆さんに、確かな安心を感じていただけたことと思っています」

高剛性ボディのメリットはほかにもあるのでしょうか。

「たとえば、事故を回避するときなどに、高速での急激なレーンチェンジをしなくてはならない場合がありますね。こういうときのクルマの安定性に、ダイレクトにつながっています」

続いて、今回のドライバーでもある松井さんに内容を伺いましょう。

「安全のための電子デバイスが最適かつ有効に働くのは、すべてはこのボディ剛性の高さがあってこそなんです。本プログラムではGolf GTIを使い、参加者の皆さんに3種類の安全テクノロジーを体験していただきます」

電子デバイスによる3種のテクノロジーとは?

「まずは新世代の電子デバイスのエレクトロニック・スタビリゼーション・プログラム(ESP)。そしてプロアクティブ・オキュパント・プロテクション、マルチコリジョンブレーキシステムの3種となります」

これらの装備が稼働することで、実際にどのような体験が得られるのでしょうか。

事故を事前に回避する
エレクトロニック・スタビリゼーション・プログラム

まず、走行時の横滑りを防止するシステム、エレクトロニック・スタビリゼーション・プログラム(ESP)から。最初は、ESPがOFFの状態を体験するのですね。

「はい。プログラム体験者の方にGolf GTIに同乗していただき、まず停車状態から時速60km/hまで加速します。この速度からブレーキをかけずに、わざとロールさせて内輪を浮かせるようにステアリングを急激に切ります。アクセルを戻すことでタックイン(※1)気味に横滑りが始まり、方向のコントロールが失われることがおわかりになるでしょう」

次はESPをONにした状態ですね。

「ESPが作動すると、クルマの挙動に対してそれぞれのブレーキが個々に制御し合い、同時にエンジン出力も統合的にコントロールされます。この効果により、内輪の接地性が保たれると同時にクルマの振り幅が狭まります。体験者の方には、とくにリアの流れ方が落ち着いたことがお分かりいただけることと思います」

横滑りを検知することで、ブレーキ、エンジンの両方にデバイスが介入し、車体が安定するまで作動を続けるのがESPの働きです。とくに、路面の摩擦の少なくなる雨天の路面や雪道では、クルマの姿勢制御として効果的な装備といえます。

(※1)タックイン
FWD車において、旋回中にアクセルを戻すと、ステアリングを切っている方向に急激に切れ込む現象。

事故の可能性に備える
プロアクティブ・オキュパント・プロテクション

次にプロアクティブ・オキュパント・プロテクションについて教えてください。

「この装備は、事故の可能性を予測して万が一に備えるシステムです。実際に事故直前まで持っていくのは危険ですから、プログラムでは擬似的に装置を作動させます。やはり停車状態から時速60km/hまで加速し、アンダーステア(※2)、オーバースピード気味にコーナーへ侵入し、クルマが事故を予測した状態にします」

停車状態から行うのはどうしてでしょうか。

「メリハリをつけることで、3種それぞれの安全性能をよりわかりやすくすることがひとつ。また、Golf GTIの加速感も同時に味わってもらいたいからです」

プロアクティブ・オキュパント・プロテクションが作動すると、車内では何が起きるのでしょうか。

「クルマが事故の可能性を検知した時点で、まず前席のシートベルトのテンションがキュッと高まります。同時に、ウインドウが開いていた場合は、すべてのウインドウを90%まで閉じるというのが一連の動作です」

ウインドウに残された10%の隙間は「人間はとっさのときに何かをつかむ性質」があるため、手指を挟まないための配慮からだとか。ウインドウを閉じるのは、事故の衝撃で乗員が車外に放出されることを阻止するほか、カーテンエアバッグとサイドエアバックの効果を最大限に引き出すためです。

(※2)アンダーステア
クルマが定常円旋回で一定の舵角のまま速度を上げていった際、前輪の接地摩擦力が遠心力に負けて、クルマが円の外側へ向く挙動を示すシャシー特性。

起きてしまった事故を最小限にとどめる
マルチコリジョンブレーキシステム

そして最後は、マルチコリジョンブレーキシステムについてです。

「これは起きてしまった事故の被害を最小限にとどめる装備で、コンパクトクラスのクルマでは、Golfが初めて採用しました。実際の場面では、事故が起こった後に働くシステムなので、ここでは衝突後を想定した操作を疑似的に体験していただきます」

実際にはどのように動作するのでしょうか。

「万が一、事故が起きた場合、たとえば他車に追突や接触をされてクルマが予期しない方向へ動いてしまったケースなど、クルマが瞬時に自動でブレーキを掛けて10km/h以下になるまで減速します。これは対向車線にはみ出して、多重事故が起きる危険性を回避するためです。また停止間際にまで減速した状態からは、ドライバー自身がクルマを安全な場所に回避させることを想定しています」

プログラム体験者は、どのような体感をするのでしょう。

「この減速時に体へは最大で0.6Gの重力がかかります。体感的にはグーッと前へ引っ張られることを感じていただけることと思います」

これまでになく向上したGolfの安全性能

最後に、このプログラムで解説していただいた、そのほかの安全性能についても伺いましょう。

「Golf GTI は、高剛性ボディに衝撃吸収構造を採用し、衝突エネルギー吸収構造材・エネルギー分散構造材を組み合わせたクラッシャブルゾーンと、頑強なフレームで囲まれたキャビンによって、衝突時の安全性をさらに高めています。またその一方で、アダプティブクルーズコントロールやプリクラッシュブレーキシステム“Front Assist Plus”、レーンキープアシストシステム“Lane Assist”やドライバー疲労検知システムなどといった最新のテクノロジーで、ドライバーの負担をより軽減し、優しいドライビングもサポートしているのです」

安全装備は、スポーツモデルのRやGTIだけでなく、全モデル共通でしたね。

「フォルクスワーゲンには、すべてのクルマに高い安全性を備えるという姿勢があります。スポーツモデルだけに先進の安全デバイスを装備するのは、これまでにもよくあったことです。しかし、かなりの台数が量産されるすべてのモデルに同じデバイスを装着するのは、メーカーにとってもたいへんエネルギーがいることなんです。コンパクトクラスのGolf全車種に先進の安全装備を実現したことは、フォルクスワーゲンの誇りでもあります」

セーフティ・ドライビング・エクスペリエンス参加者の声

プロアクティブ・オキュパント・プロテクションの動作に感動

「3つの安全装備を実際に体験できるということで、こちらのプログラムに参加しました。いちばん印象深かったのは、プロアクティブ・オキュパント・プロテクション。クルマが事故を予測して、自動的にシートベルトのテンションを高めてくれるなんて凄いですよね! それと同時に、あらかじめ開けておいたすべてのウインドウが9割方いっせいに閉まったことにもびっくりしました。車外への放出防止やエアバックを最適化する配慮とのことでしたけど、これホントにいい機能だと思います。シートベルトがキュッと利くことで、体へのホールド性もさらに高まる。これは心理的にも安心感が湧きますね。ウィンドウは隙間を残して閉まりますが、その理由が手を挟まないための安全対策だと聞いて、再び感心しました」

GolfⅣ R32所有/30代/男性/神奈川県

実際に体験することが大切ですね!

「以前のモデルに比べて、ロードノイズをほとんど感じることがありませんね。かなり静かになったなというのが第一印象。それだけボディ剛性や精度がアップしたということでしょうね。乗り降りする際のドアの開閉感などからも、剛性が上がっているなぁって感じました。電子デバイスによる安全機能は、自分がいま乗っているGolfにもいくつかは備わっているんです。でも、正直なところ、ここまで深く理解をしていませんでしたよ。いくらカタログやプロモーションビデオを観たりしたところで、それは頭のなかのこと。実際にこうして体感をすることが、何より大切ですね!」。

GolfⅤ GTI、GolfⅥ TSI Trendline所有/40代/男性/東京

ESPの有無によるステアリング操作の違いがよく見えた

「横滑り防止機能のエレクトロニック・スタビリゼーション・プログラムがいちばん印象的でしたね。私はドライバーズシートの真後ろに乗車していたんです。だから(ESPの有無によって)インストラクターの方が操作するステアリングの舵角の違いがよく見えました。こんなにも違うものかと、ちょっとびっくりしましたよ! 制御されていると、驚くほどクルマの動作がスムーズになり、その違いが歴然とわかります。私はサーキット走行や氷上走行の経験があるので、クルマが滑る感覚を何度か経験しているんです。スポーツドライビングが好きなので、この安全機能には本当に驚かされました!」

GolfⅣ所有/30代/女性/神奈川県