INNOVATIVE SPORTS EXPERIENCE

サーキット・エクスペリエンス

Golf Rサーキット走行レポート/富士スピードウェイ/メインコース 斎藤聡/古谷直広

低中速からぐんぐん加速する
TSIエンジンとDSGトランスミッション

まずは、走りの性能の要である、TSIエンジンとDSGトランスミッションについて。

「TSIエンジンの直噴ターボ技術が優れているのは、圧縮比の高いピストンとターボチャージャーによる加給が両立されたことで、燃料をとても効率よく使えるようになりました」

と語るのは斎藤さん。その技術によるメリットはなんでしょう。

「まず、アクセルとエンジンの反応が早くなるので、ドライバーの加速したいという意思がエンジンに即伝わります。今回、日本仕様のGolf Rは280psの最大出力で、富士スピードウェイのメインストレートならば、最高速は230km/h以上に達します。何より注目したいのは、低中回転域からしっかり加速していく、使いやすいエンジンだということ。この特性、スポーツドライビングに中途半端に慣れている人だと速く感じなくて、高回転域だけでいきなり加速するエンジンがパワフルだと勘違いしてしまう。しかし、サーキットでは低中速コーナーも多いですから、TSIエンジンのほうが立ち上がりの加速にも有効で、より速いタイムで周回できるのは、Golf Rのほうなんです」

DSGトランスミッションについては、レース経験の豊富な古谷さんから。

「とにかく切れ目なく素早くシフトチェンジしてくれるミッションです。まるでレースカーに乗っているように小気味いい感じですね。DCCのレースモード(※1)では、ほかのモードよりもさらに速くつながっていく印象を受けました。排気音も大きくなって、中回転域のトルクが増している感じです」

DSGトランスミッションがとくに優れている点は。

「まずは奇数ギアと偶数ギアそれぞれにクラッチがあるため、途切れることのないシフトチェンジが可能になっていることですね。また、オートマチックであっても、トルクコンバーター形式ではないのでパワーロスをすることがありません。TSIエンジンのアクセル特性と合わせて、たとえば時速何kmくらいまでスピードを上げたいと考えたときに、その期待値どおりにクルマが動くんです。このあたりのチューニングがとてもうまくできていますね」

スポーツドライビングの喜びのひとつに、クルマを意のままに操るということがあります。Golf RのTSIエンジンとDSGトランスミッションは、ドライバーの意思を素早く受け止め、なおかつ使いやすい特性を持っていて、まさに意のままという言葉がピッタリはまります。

(※1)アダプティブシャシーコントロール“DCC"
ダンパーの減衰力やステアリングの特性を瞬時にコントロールする先進のサスペンションシステム。「レース」は、Golf Rのみに用意されたモードで、ダンパーの減衰力を高め、エンジンレスポンスはよりシャープに、シフトポイントもパワーバンドを維持した設定に変更されます。ほかに「エコ」「ノーマル」「コンフォート」「カスタム」の各モードがあります。

FWD/4WD車のなかで
非常に優れたハンドリング

続いては、コーナーでの旋回性の鍵となるハンドリング。GolfシリーズではRのみに採用された駆動方式4MOTIONの性能についても解説してください。

「Golf Rの駆動系は、ハルデックスカップリングを使用した第5世代の4MOTIONというフルタイム4WD機構です。これは、FWDが基本で100:0~50:50までクルマの状態に応じてトラクションを可変させます。一般的なFF車や4WD車はこれまで、ハンドリングが悪い、曲がりにくいという人もいました。しかし、FWDのGolfは元々かなりレベルの高いハンドリング特性を持っています。それをさらに4WD化したGolf Rは、駆動系のセッティングがとてもうまくマッチしているため、世界の4WD車のなかでいちばん優れたハンドリングを持っているといっても過言ではないと思います。実際に、サーキットで限界まで攻め込んでも実によく曲がってくれます」

ハンドリングに影響するのは、駆動系だけではありません。高剛性ボディやシャシー性能についてはどうでしょう。

「Golf Rは、シャシーとボディがとにかくしっかりしています。強固な骨格がサスペンションを支えているのがよくわかるんです。ボディが弱いと、クルマはねじれます。これがある時点を超えると、サスペンションの設定からどんどん離れていってしまうんです。Golf Rでは、それがほとんど感じられません。つまり、タイヤの接地性能がとても高くなるわけです。路面からのショックのいなし方も絶妙です。今回のプログラムでは、ESPスポーツモード(※2)で走行していますが、タイヤの接地性能が高く空転しないため、ほかのクルマと比較してもESPの介入がありません」

ハンドリングの特性としてはどうでしょう。

「セッティングは、レースカーのように極端にシャープではありません。切った分だけ曲がる素直なハンドリングといえますね。コーナー出口を目指して、あそこに行きたいと思ったところへ、ピンポイントでクルマを持っていける正確さがあるといえばいいでしょうか。アウトバーンの高速域での走行も含めてよく考えられたチューニングです」

コンパクトクラスのクルマづくりのベンチマークといわれるGolf。とくにハンドリングは、クルマのトータルバランスが求められる性能だけに、Golf Rはこれまでにない高い次元のベンチマークを作り上げたといえます。

(※2)ESPスポーツ
エレクトロニック・スタビリゼーション・プログラム(ESP)は、タイヤの空転や横滑りなど、クルマの不安定な動きをセンサーが感知すると、多くの電子制御機能をコントロールしてブレーキやエンジン出力を統合制御する安全装備です。ESPスポーツは、Golf Rにのみ搭載されたモードで、ESPの介入を遅らせて、サーキットでのアグレッシブな走行を可能にします。ESPは解除することも可能です。

スポーツ走行から街中まで
フレキシブルなチューニングをされたブレーキ

次にブレーキ性能について。

「ブレーキは、効き具合も大事ですが、ペダルを離したときの性能にも注目してもらいたいんです」

と斎藤さん。具体的にどういう動作でしょうか。

「停止するときにカクッとならず、スゥーッと力が抜けていくブレーキのセッティングが好ましいですね。サーキットでは、とにかく制動力が高いに越したことはありません。制動力を上げるためには、摩擦係数(μ)の高いパッドを使いますが、これはローターに強くくっつくので離れづらくなってしまう。そうすると、カクッとなりがちなんです。Golf Rは、その釣り合いがうまく作られているんですよ。スポーツドライビングで十分な制動力を得ながらも、街中での走行時にも使いやすいというバランスのよいチューニングがなされています」

最高グレードのスポーツモデルであっても、街中での使いやすさを両立するのは、まさにGolfらしいバランスのよさ。それがブレーキフィールにも反映されているわけです。

スポーツモデルであってもファミリーユースを忘れない

最後に、Golf Rでスポーツドライビングを楽しむ上でのアドバイスをお願いします。

「Golf Rは、電子デバイスによる安全装備も豊富で、より安全にスポーツドライビングを楽しめるクルマだと思います。Golf Rでは、クルマを振り回すのではなく、キレイな走り、よりスムーズな走りをすることがおすすめですね」
「たとえばカーブに入るとき、進入速度やステアリングの舵角をカーブに入ってから調整するのではなく、あそこに行きたい、こういうコーナリングで曲がっていきたいというイメージを心がけるといいでしょう。繰り返し走ることで、その加減がわかってくると、Golf Rというクルマがさらに面白くなることと思います」

Golf Rには、ほかにどんな魅力があるでしょうか。

「スポーツモデルであってもファミリーユースを考えるのがGolfというクルマです。Golf Rもその枠の範囲で作られていて、高次元のスポーツモデルでありながら、どんな人でも運転しやすいというさじ加減がなされています。といっても退屈なクルマというわけではなく、ちゃんと刺激もしてくれるんです。このように、細かい所作が実によくできていることが、このクルマの魅力です」

サーキット・エクスペリエンス参加者の声

電光石火のごとくつながるDSGトランスミッション

「まずね、加速、減速、コーナリングのすべてでバランスのいいクルマだなと。同乗でもそんなふうに感じたのは、初めての経験でした。ボクもDSGトランスミッションは乗り慣れているはずなんだけど、こんな急激な加速で体験したのは初めてだから。電光石火のごとくつながるというか、改めてその性能に感心しましたよ。フォルクスワーゲンに限らず、スポーツモデルはどんどん進化しているけど、操作する愉しみというのは残していってほしいですね。これまでに経験のない操る喜びみたいなものを開発してほしい」

Golf ⅥTSI Comfortline所有/40代/男性/三重

ブレーキングのメリハリとコーナーの安定感がいい

「やはり加速感とGのかかり具合だよね。初めての体感で、とにかく感動しました。DSGは、オートモードでもシフトアップが速くって、一気にスピードに乗ってくるのがすごくよかった。コーナーへ入っていくときの減速のメリハリとコーナーリング中の安定感がいちばん印象に残りましたね」

Tiguan Sports&Style所有/40代/男性/神奈川

音が素晴らしいね

「とにかくエンジン音、排気音が素晴らしいよね。大きい音なんだけれど、それを感じなくてね。とてもいい音してるよ。それから、ブレーキが安定しているのに驚いた。すごく速いスピードから一気に減速するんだけど、クルマの姿勢がまったくブレないというか。これは自分でも運転してみたくなるね」

他社ドイツ車・スポーツクーペ所有/50代/男性/東京

家族にも優しいスポーツモデルを

「コーナリングの安定感がいちばん印象に残ったかな。本当に安定しているなあって。フォルクスワーゲンはVento、Golf Ⅳワゴンときて、今はSharanに乗っています。今回のGolfはシャシー性能が段違いに上がっているんだなと思いましたね。自分の腕をカバーしてくれるというか。きっと、意のままに操れんだろうなって感じます。スポーツモデルには安全性はもちろん、燃費のよさも期待したいです。現行モデルでもずいぶんよくなっているんだろうけど、もっともっと向上していってほしい。家族にも優しいスポーツモデルがいいですね」

フォルクスワーゲンSharan所有/40代/男性/埼玉

コックピットのような内装がカッコイイ

「コーナリングというんでしょうか、カーブを曲がっているときにブレる感じがしないんですね。それと、とても速いスピードなのに傾かない(ロールしない)で、ずっと安定しているので驚きました。だから乗り心地がとてもいい。内装は、コックピットのようで、カッコよかったですね。2カ月くらい前に購入したウチのクルマと形は同じですけど、やっぱりスポーツモデルは違うんだなって感じます。今のクルマは、主人が試乗して、とても気に入って決めたんです」

Golf Ⅶ TSI Highline所有40代/女性/茨城